2011年4月9日土曜日

総務省は、ちょっとぼろくないか?

総務省総合通信基盤局は、4月6日にこんなことを公式に業界に要請した。
平成23年4月6日

東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する電気通信事業者関係団体に対する要請

総務省は、本日、電気通信事業者関係団体に対し、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、各団体所属の電気通信事業者等が表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じることを要請しました。

本日、「被災地等における安全・安心の確保対策ワーキングチーム」において、「被災地等における安全・安心の確保対策」が決定されました。
同対策においては、東日本大震災後、地震等に関する不確かな情報等、国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布している状況に鑑み、インターネット上の流言飛語について関係省庁が連携し、サイト管理者等に対して、法令や公序良俗に反する情報の自主的な削除を含め、適切な対応をとることを要請し、正確な情報が利用者に提供されるよう努めることとされています。
同対策を踏まえ、総務省では、社団法人電気通信事業者協会、社団法人テレコムサービス協会、社団法人日本インターネットプロバイダー協会及び社団法人日本ケーブルテレビ連盟に対して、東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語について、各団体所属の電気通信事業者等が表現の自由に配慮しつつ適切に対応するよう、周知及び必要な措置を講じることを要請しました。
別紙:東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請

総務省の公式発表

この要請は本当に問題が多い。これまでのコンテンツに対する規制といえば、違法・有害情報に対する取り扱いがあった。違法コンテンツは厳正に対処すれば良い。有害情報についても、問題は多々あるが、基本的には児童ポルノ、青少年の売買春問題、出会い系サイト関連犯罪への対応ということなので、業界の自主規制と対応を政府がバックアップするということで決着がついている。これも、ギリギリだが、まぁ、何とか許容範囲。
しかし、この要請は、いままでの対応とは全く違っている。つまり、情報の信憑性を判断基準として、コンテンツの削除を含めた対応をしろと要請しているのだ。こんなことを対応できる通信事業者、サービス事業者が居たら、それはビックリ仰天だ。よく総務省の方々が言う「通信の秘密」とか、「表現の自由」とかを持ち出しているのではない。通信事業者に情報の信憑性を判断して、場合によっては削除してよいと言っているのだ。こんなアホなことがあるか。この要請は、本当に適切なものなのか?
おいらから見れば、地震に便乗した、統制強化、規制強化を狙っているということにしか見えない。

そんなことを総務省の知り合いにもメールで伝えたりしていたが、もっと仰天な情報を友人から頂いた。総務省コンプライアンス室長の郷原信郎なる人物が blog に、4月8日にこんな事をかいているのだ。


「東日本大震災に係るインターネット上の流言飛語への適切な対応に関する要請」について

総務省コンプライアンス室長  郷 原 信 郎

平成23年4月6日付けで、総務省総合通信基盤局長名で「社団法人電気通信事業者協会」ほか3団体に対して行われた標記要請に関して、電気通信業者の監督官庁である総務省による情報統制を懸念する声が上がっていることに関して、当職に対しても複数の問い合わせ、問題の指摘があったことから、所管の総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政課に同要請の趣旨、内容について確認したところ、同要請は、同22年1月に出されている「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」や約款に基づき「適切な対応」をとるという「従前どおりの対応」を求めているに過ぎず、それを超えた措置を求めるものではない、とのことである。
なお、同ガイドラインは、わいせつ物、児童ポルノ、規制薬物等に関連するもの等違法又は公序良俗に反する情報提供に関するものであり、真実性が問題となる情報についての対応を内容とするものではない。したがって、「流言飛語」が同ガイドライン上問題となることは実際上考えられない。
しかしながら、同要請において、「国民の不安をいたずらにあおる流言飛語が、電子掲示板への書き込み等により流布しており、被災地等における混乱を助長すること懸念されます」と述べた上で、「インターネット上の地震等に関連する情報であって法令や公序良俗に反すると判断するものを自主的に削除することも含め」、「適切な対応」をとることを求めていることから、あたかも、情報内容の真実性の観点から問題があると判断した特定の情報をインターネット上から削除すること等の「流言飛語」に対する特別の対応を要請するものであるかのように誤解される恐れがあることも否定できないものと思われる。
同要請の趣旨は上記のとおりであり、地震等に関連するインターネット上の流言飛語に対して、「自主的な削除」等の従来の対応を超えた格別の措置をとることを求めるものではないことが十分に理解され、総務省による情報統制の意図によるものであるかのように誤解されることがないよう、格段の御留意をお願いしたい。
http://www.twitlonger.com/show/9nuruk

これを読んで、さらにヒドイと思ったのは、なんの意味もない、単に混乱を引き起こすだけの要請が、総務省から世の中に送りだされ、その文書を作った側も、今までの対応となんら変えることは無いと思っていることが露呈していることだ。これはヒドイ。
しかし、もっとヒドイのは、この郷原なるコンプライアンス室長が、しれっと自分の blog に、こんなことを書いているのは、アカウンタビリティの観点でどうなんだ。更に言えば、総務省における情報管理に掛かるルール遵守の点で、この blog エントリはどうなんだ?

そんなことを考えると、総務省っていう役所はぼろくないか?

2011年4月2日土曜日

独立行政法人・国立大学法人職員動員令を出せ

東北地方太平洋沖地震によって引き起こされた東日本大震災への対応は、端から見ても、専門家の手は足りず、しかも、現場に投入するための人員も逼迫している。いまこそ、世の中に存在する多種多様な専門人材を霞ヶ関で、また現場で働かせる時だと思う。そのためには、予算が余り必要でなく、大きな制度変更を伴わない、独立行政法人・国立大学法人職員動員令を出せばいいのだ。単に、給料は既存組織から支払い、任地を霞ヶ関、あるいは、地方支分局にすれば良いのだ。細々した費用(住居、通勤等)は、政府と送り出し元の組織で案分すればいい。どちらにしろ、根っこは同じ国税なのだ。
このような勤務形態は、実は、これまでも小規模ながら行われている。おいらが補佐官になったのも同じ。そして、非常勤公務員として発令し、限りなく常勤に近い勤務をさせれば良い。業務を与え、権限と責任を与えれば、いくらでも働くチームはできる。
同時に、動員を要請された人が、動員されるのが嫌なら、嫌で来なくていい。やりたくない仕事をさせても、どうせパフォーマンスは上がらない。マインドセットが性能を大きく左右させるので、文句がある人は来なくて良い。それでも、沢山の人が動員に応じてくれるだろう。俺たち専門家、プロは、社会のために働きたいのだ。

必要なことは、政府トップのマンデートだけ。官邸が、ちゃんと正式に発表し、このような動員をすることにしたと言えば良い。根回しは、法人理事長、学長に、総理からの依頼の手紙で、大抵すむよ。お金の問題は大したことではない。どっちにしろ、必要なものは、ちゃんと負担すればいいのだから。宿、通勤。当たり前のことだ。

さぁ、本当に、こういう機動的な人材活用をがんばって欲しい。このアイディアは実現可能です。本当に。だって、おれが補佐官6年やったのと、全く同じだもの。前例ありで、バリバリできますぜ。