2010年4月12日月曜日

書評:人間が消えた世界 / アラン・ワイズマン

地球という環境にとってみて、人間はがん細胞みたいなものである。循環型エコシステムを形成してきた地球は、人間の存在によって不調を訴え始めている。地球温暖化はその一例だろう。では、仮に地球上から一人も人間がいなくなったらどうなるのだろうか。この地球は再生するのか。そのように考えることで、逆に現在の環境問題の本質的課題を浮き彫りにしようとしたのが本書である。本書は誰もが読めるように平易な言葉遣いと説明がなされているが、実は学術書としても一流の仕事をして書き上げられている。つまり、事実と学術的研究成果に基づき書かれているのだ。本書を読破して気がつくのは、地球温暖化、あるいは、温室効果ガスの排出という問題も大きいが、それ以上に人間の活動によって環境中に排出される様々な人工的化合物の問題が大きいのではないかと気がつき始めるのだ。特に、莫大な量のプラスチック細片の環境滞留、成長し続ける太平洋上の広大なゴミ溜め、そしてこれから数万年付き合わざるを得ない放射性廃棄物。いわゆる廃棄物管理 waste management を地球規模でどのように実装し、どのように目標を設定、達成するかが大きな課題だと気付くのだ。
地球環境問題に興味がある方は、是非ご一読を。

0 件のコメント: