2012年3月8日木曜日

書評:福島原発 - 真相と展望 / Arnie GundersenComments

GE が開発した原子炉マークI型BWRの隅々まで熟知する米国専門家のガンダーセンが、福島原発では何が起き、現状でのリスクは何であるかを明らかにする。特に、四号炉の危険性が高く、ここの使用済み燃料プールに蓄積された取り出されたばかりの燃料集合体が引き起こす可能性がある、高濃度放射性物質漏出のリスクに言及する。「四号炉のプールで火災が起きたら、日本から逃げ出せ」とアドバイスする理由を明確に示す。現状でも福島第一原子力発電所の4機の原子炉からは、大量の放射性物質が漏れ出している。さらに、臨界事故も発生し、即発臨界によるデトネーション(爆轟)が発生し、燃料棒に閉じ込められていた燃料物 質が大量にばらまかれたことも示している。このような、不安定な状態での、ひとときの安定状態が、現在の福島第一原子力発電所の状況であることを明快に示 す。
さらに、漏れ続ける放射性物質による環境汚染、そして人間の被爆、特に内部被爆による大きな問題が2,3年以内に明らかになることを予想している。その範囲は、広く東日本全体(東京を含む)に及ぶことを予想する。というのも、放射性雲(プルーム)が広く関東地域に掛かったのだ。これも文科省のデータから明らかにする。
この本を読むと希望が希薄になることを感じる。というのも、東電も、政府も、全く事実を明らかにせず、かつ、日本全体を放射性汚染の巨大な実 験場にするのではないか、結局本当のことを伝えず、安い安心感を与えているだけなのだ。国民を騙し続けているのだ。これは本当に絶望感しか生まれないじゃ ないか。そのことも明らかにしているのだ。
しかし、問題は直視しなければならないのだ。

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