2012年3月8日木曜日

フュージョンという創造性

さまざまな料理は、相互に影響を与え合って、新しい形を作り出していく。フュージョン fusion は、ここ何十年にわたって、料理に新しい風を入れてきた。古くは、フランス料理におけるヌーベルキュイジーヌ nouvelle cuisine は、1970年代に日本の懐石料理に影響を受けたポールボキューズが、素材を生かし、濃厚な味付けを控え、量も少なめとする新しいフランス料理の姿を示したものだ。これは一番有名なフュージョンと言えるだろう。最近では、香港での中華料理にも、クラッシックとフュージョンがある。フュージョンは、中華とフレンチ、中華と和食懐石のようなスタイルの融合を生み出している。このような国境を越え、ジャンルを超え、相互に影響を与え合い、融合し、また、そこから分離していくことが、ある意味でフュージョンという楽しい料理を生み出すことになっている。
さて、日本人は、凄いフュージョンを昔からやってきた。この納豆スパゲッティなどは、そのフュージョンの典型といえるのではないか。レストランでも人気メニューであるし、ホームクッキングでも一般的に作られている。そのバリエーションも数多い。フュージョンを生み出す力は、日本でも素晴らしく沢山ある。
フュージョンは、良いところ取りの、安易な手法なのだろうか。いやいや、組み合わせる複数の領域のプロをうならせなければ、真のフュージョンとは言えないだろう。その意味で、創造的なチャレンジであると言える。さらに、既存の枠組みを一旦壊して、再構成しなおしながら、実はフュージョンを組み立てるというのは、ある意味、もの凄いチャレンジということもできる。だから、フュージョンってのは、バカにしてはいけないのだ。





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